化学・ライフサイエンス業界は、幅広い分野を支える素材産業です。年間出荷額は44兆円と、日本の製造業では自動車産業に次ぐ第2位の分野であり、同産業に従事している従業員数は食料品、自動車産業に次ぐ第3位の87万人を数えます。
カバー領域は広く、その中でもファインケミカルやライフサイエンスが拡大しており、今後は、温暖化対策や石油資源の効率的活用、植物資源や炭酸ガス等の非石油資源の原料化、樹脂や情報電子材料など高付加価値分野の強化などが注目されています。
これらの流れに密接に関連しているバイオ業界を支え、さらに化学業界でも研究開発・製造分野で必要なのが、分析機器や精密機器などの理化学機器業界です。これらはその浮沈を同じくする業界であり、またグローバル化の影響を最も大きく受け易く、急成長をしている分野と言えます。
化学・ライフサイエンス業界転職トレンド
製造業全般で求人が減少しており、化学業界もその影響を受けていますが、現業部門は別として、研究開発職などは今後とも根強い求人があるでしょう。さらに新規事業関係で、今までにない職種・分野の求人が出てくる可能性が高いのも、この業界の特徴でしょう。また営業職も広範な知識・経験が求められるだけに、欠員補充など経験者の求人は継続的にあると思います。
バイオ業界では、業界規模が大きくなっている分、継続的な求人が見込めます。しかし一部にある、労働条件が厳しく、長期勤務が難しいといった傾向はまだ残っています。機器業界は家電や自動車などの機械系とは製造や輸入数が決定的に違います。その分専門性や特殊性が高く、年収要件が比較的高いなどと相まって、雇用の流動性が低いので、求人数が多いとは言えません。総論としては、グローバル化に伴い語学力や専門性の高い経験を活かせる機会は多いが、転職機会はあまり多いとは言えない、そして業界内で転職する機会の多い分野だと言えるでしょう。
化学・ライフサイエンス業界の転職、キャリア形成のアドバイス
グローバル化の進む、特に化学業界では、日系・外資を問わず、日本はアジア全域をカバーする大きな拠点となっています。ということで、英語力が転職機会の拡大、キャリアアップにつながります。また長期勤務を考えるなら、例えば研究開発職だけにこだわるのではなく、技術営業、学術・技術サポート、マーケティング、新規事業企画など、幅広い職種へチャレンジする志向が必要だと思います。同じ会社で長く勤めるとしても、広い視野を持つ柔軟性が必要になるでしょう。
バイオ業界では柔軟性に加えて、流動性も考慮に入れなければなりません。長期勤務や同一職種での就業が難しい部分もあるので、客観的に自身の年齢や実績、将来性(年収なども含め)を考え、時には時機を失せず転職活動をする勇気が必要になります。機器業界では、例えば、大型の画像診断装置だけの経験では、HPLCの扱いは難しい訳で、同じ会社に長くいればいるほど、専門性が高くなる分、ジョブチェンジは難しくなります。転職を、例えば、勤務地とか年収、待遇など、業務内容以外の要素で考える必要も出てくるでしょう。