世界の自動車部品市場は年率約5%で拡大し、特に車載情報システムやパワートレインはそれを上回る伸び率を示すと予測されています。この成長が全ての技術、製品に見込まれるわけでなく、成長市場と縮小市場とに大きく分かれ、すなわち勝ち組/負け組部品のミックスが起きると予想されています。勝ち組部品に共通して言えることは、環境・安全・快適と言った自動車業界で求められているトレンドに貢献している点です。
「環境」は、HEVやEVに代表されるようなパワートレインや小型・軽量化に開発が進んでいるシャシー、外・内装。
「安全」は、ブレーキシステムの機能性向上や運転支援システムの導入。
「快適」は、車間距離追従型のクルーズコントロールや駐車支援機能等が挙げられます。
日本市場では、今後生産台数が減少すると見込まれる中、自動車部品メーカーでは、コスト構造的な観点やエレクトロニクス化に伴い系列が崩壊し、新しい勢力図がはっきりしてきています。独自の技術を提案してくる外資系のメガサプライヤーが攻めてくる一方で日系部品メーカーも海外の完成車メーカーから受注を取り始めています。今後、部品産業に到来している変化の波に乗るには、技術や産業構造の将来をしっかりと読み、「自分達の強み」をいかに発揮出来るかが勝ち組へのキーとなるでしょう。
自動車部品業界の転職トレンド
日系・外資系共に企業の採用意欲は旺盛で当に「売り手市場」と言っても過言ではないでしょう。設計開発、購買・調達、品質保証、生産技術、営業とほぼ全職種に渡って多くの求人が見受けられます。只、完成車メーカーからの厳しい要請に対応できる即戦力が求められているのも事実です。
自動車のエレクトロニクス化にともない、従来型の日系自動車部品サプライヤーが成長分野への投資を背景に求人を増やしていますが、外資系企業群もアジアの研究・開発拠点として、日本でテクニカルセンター設立を計画しており、それに向けて多くの人材を募集する予定です。今後も生き残りを掛けた付加価値投資が継続されることから転職市場は堅調に推移すると思われます。
自動車部品業界の転職・キャリア形成のアドバイス
「自動車産業界で起きている変革に取り残されないためにも、今までご自身が築いてきたコアキャリアに更なる価値を付ける努力をしましょう。エンジニアの方であれば、設計・開発力に磨きを掛けるだけではなく、顧客との折衝力(技術営業)、コミュニケーション力(プロジェクトマネージメント)、マネージメント力のように1つでも多く戦えるスキル(付加価値力)を持つことです。幸いにも現転職市場は求職者にとって好環境が続いていますので、幅広いキャリアを実現できる良い機会かと思います。
英語力に至っては、ボーダーレスのこの時代に必然性が増してきています。更に重要なポイントは、外資系企業との企業文化や価値観の違いを認識することです。入社するご自身の外資系企業は当然の事ながら、クライアント等のビジネスパートナーに対しても同様に十分準備が必要かと思います。