大寒が過ぎ、寒さが本番です。

毎朝の通勤は、暗い・寒い・窮屈（厚着のせいで）の三拍子揃い、中々の気合いが必要ですね。
東の空が明るくなる時間が少しずつ早くなっており、あともうひと月の辛抱ですので耐えて行きましょう。
以前もお話したかもしれませんが、私は通勤時に明るい音楽を聴いて暗い道でも滅入らないように心がけております。
夜明け前が一番暗く感じますね。季節も人生も（笑）

そんな中、今週は通勤電車の中で受験会場に向かう小学生をよくお見かけします。
なんでこんな話をするかというと、初めての中学受験生を抱えた知人が色々悩んでいるのを見て、
自分自身の中学受験の頃を思い出したからです。
因みに、我が家はもう10年以上前に終了しております。

私自身は、今からちょうど40年前になるので、まだ今ほど騒がれる前の受験ブームの走りだったと思います。

小学校4年になり、それまでやっていた野球やボーイスカウト（正確にはカブスカウト）を辞めさせられて、
自転車で30分ほどかかる地元の進学塾に通うようになりました。
まだその時は何故通うのか分かっておらず一種の課外活動のような捉え方をしておりました。
塾の帰りに、小腹が空いたと駄菓子を皆で買いに行って、各々通っている小学校の流行や塾で誰がかわいいかなどの話をしてストレスを発散させていたのでしょうね。
小5になって、「四谷大塚進学教室の正会員にならなければならない。」という使命を与えられ、
やっと中学校を受験するという目標があるのだということに気づきました。（SAPIXなどは存在しておりませんでした。）

両親とも教育熱心だったこともあり、顔を見るたびに「勉強しろ。」と言われるうえに、
塾が週３回で、日曜日に四谷大塚に通い、学校の休みのシーズンは朝から弁当を持って講習に通うという生活を２年間続け、かなりストレスは溜まっていたのでしょう。
要領が良くない小学生だったので、勉強時間の割には成績が伸びず、国立と私立御三家の一角を受験しましたが、見事に落ちて、打ちひしがれている時に母親が放った一言がずっと忘れられませんでした。

「これだけお金を掛けたのに、どぶに捨てたようなものだね。」

本人にとっては、自分で望んだ受験でもないし、たまに良い成績で順位表に名前が載る（今は個人情報がうるさくてそのような表がないと聞いておりますが。）と喜ぶ親の姿が見たいがための勉強だったので、結果が出ないのは仕方がないにしても、もう少し違った言い方があったのではないか？と今でも思っています。

その後、高校受験で御三家の一角の高校に合格して、敵（かたき）？は取ったものの、あの時のショックは未だに忘れられません。
なぜなら高校受験と異なり中学校受験は任意ですし、自分で十分な動機づけができていないうえに親からバッサリ斬られたというのことで、やり場のない悔しさを感じたからです。
「近所の公立中学校があまりレベルが高くなく、良くない友達と付き合うようになるのを避けて中学校を受験する」というのは立派な動機だとは思います。

公立の小学校・中学校は家庭環境も子供の学力もかなり差が激しいので、それこそ色々な生徒がいました。

一年中同じ洋服を着ていじめられていたKさん、
どんな授業だろうと一日中、仏像の本を見て過ごしていたM君、
母親と離別した上にたった一人の父親が自殺して中１で親戚に引き取られて転校してしまったS君、
医者の子供で小さい頃からベンツに乗っていたY君
父親が某組織の組長で、たまに入所されて家を不在にしていた家庭のHさん。

小さいころからそのような境遇の差を身に染みて感じるというのは、長い人生を送るうえで決して無駄にならないことですし、世の中に出て初めてそのような人たちと接するとどうしてよいか分かりませんよね。
それに対人関係は格段に磨かれると思います。
特に政治の世界に進むような人にはこのような経験を通じて世の中のありのままの姿を分かって欲しいとは思います。

今回、お子様が見事合格された親御さんはおめでとうございます。
今後、勉強も大事ですが、良い友達をできるだけ多く作られるとよいですね。
中学校から優秀な人々と何でも言える仲を作れるというのは社会人になってかけがえのない財産になることでしょう。

一方で、お子様が志望校に入れずに高校受験を目指すことになった親御さん。
決してお子さんを叱らないであげてください。
今回の挫折を乗り越えれば、あなたのお子様はもっともっと強い人間になると思います。
本当に優秀な人間というのは、どんな環境においても必ず頭角を現してくるというのが私の半生を通じた確信です。
勿論、私ではなく自分の周囲を見て感想ですよ。

ただ、私自身も被害者面せずに、少ない家計の中でやりくりして塾に通わせてくれた両親には感謝しなければなりませんね。
実際に、進学塾や学校で知り合った友人・知人に社会人になって助けられたことが何度もありましたから。