コラム

他人を救うための不祥事って?

こんにちは。10月も下旬になり、肌寒くなってきましたね。
10月までのクールビズというのは果たして生産的なのかどうかやや疑問です。
昆虫族の皆さん(※2015.06.24掲載コラム:「武士道に魅せられたイギリス人」参照)も冬眠に入ったのか、最近は大人しくなられたようです。

世間では、横浜の「傾斜マンション」が大騒ぎになっていますね。
原因が本当に杭の打ち方に問題があったのかは不明ですが、ただでさえ落ち込んできたマンションの販売(9月の首都圏マンションの販売戸数が前年同月比でマイナス27.2%だそうです)に水を差すのは間違いなさそうですね。
私の弟が関係当事者の関連会社(建設関連でない)にいるのですが、全社通達で宴会禁止などのお達しが出ているとのことで、ぼやいておりました。

日本を代表する大会社の会計偽装・工事偽装で、当事者の信頼がガタ落ちですが、信頼って本当に築くのにとてつもない時間が掛かるのに、失うのは一瞬ですよね。
当事者は、会社のためとか、利益のためとかという大義名分で事を為すのでしょうが、
消費者のため、購入者のため、もしくは人道的な立場で不祥事が起きることって想像つきますか?

稚拙な私の知識で唯一それに近いと思われるのは、第二次世界大戦中にナチスに迫害を受けていたユダヤ難民に、リトアニアの在カウナス日本領事館で大量の日本通過のビザを発給した杉原千畝(ちうね)(1900-1986)さんでしょうか?

Biz_151028_01_hp

外交官時代の杉原

出典:ウィキメディア・コモンズ(Wikimedia Commons)

彼は元々外交官として、日本の関東軍の戦略上ノモンハン事件で大敗を喫したソ連を本当にナチスドイツが攻撃するのかどうか(独ソ不可侵条約を39年8月に結んでいたが、ヒトラーがソ連を攻撃すると日本に通告していたため)を探る諜報活動が本来の任務であったそうです。
当時のヨーロッパのユダヤ難民の唯一の逃避ルートはシベリア鉄道を経由して極東に向かう方法しか残っておらず、
尚且つ当時のリトアニアはソ連軍に占領され、各国に在リトアニア領事館や大使館の閉鎖を求めていたのですが、
前述の理由で諜報活動を行うために業務を行っていた日本領事館に難民が殺到したということで、杉原さんにとっても想定外だったようです。

実際にビザの発給をしたのは1940年7月から8月にかけての2ケ月間だけだったのですが、それによって救われた難民は6,000名にも上ったそうです。

受給要件を満たしていないユダヤ難民へのビザの発給に際しては、日独伊三国軍事同盟の締結を控えていた日本の外務省の訓令に反するもので、彼の独断で行ったため当然処分は覚悟されていたそうです。

リトアニアの領事館を閉めた後は、プラハ、ケーニヒスベルクの領事館を経てブカレストの日本公使館で終戦を迎え、
ソ連軍に身柄を拘束されたのち、1947年に日本へ帰国しました。しかし、彼を待っていたのは外務省からの退職通告書でした。
この時はまだ47歳でしたので、働き盛りでしたよね。

その後は家族のご不幸に加えて、職を転々とする生活をされていたそうですが、
意外にも諜報活動の対象となっていたソ連の地で仕事に就かれて活躍されていたことには縁を感じましたし、中高年の「自分の強みを生かす」転職の模範ではないかとも思います。

Biz_151028_02_hp

杉原領事代理による手書きのビザ

出典:ウィキメディア・コモンズ(Wikimedia Commons)

人道のために事を為してご存命中はあまり報われなかったようですが、晩年になってようやく戦時中の人道的な偉業に対する見直しが起こり、
1985年にイスラエル政府より、日本人で唯一のヤド・ヴァシム賞(イスラエルのノーベル平和賞のような位置づけ)を受賞し、翌年86歳で波乱の人生に幕を下ろされました。

杉原さんが日本国内で正式に名誉回復をされるのが、2000年の河野外務大臣の演説を待たなければならなかったのは非常に残念なことだと思います。
本年12月5日に唐沢寿明さん主演で映画『杉原千畝』が公開されるので興味のある方は是非見てください。

さて、自分がその立場であったらどうするでしょうか?
先日もエンロンの内部告発をした元幹部シェロン・ワトキンス氏が、危険人物のレッテルを貼られて再就職できなかったというインタビューが東洋経済のオンラインに掲載されていました。

「告発したことに後悔しているか?」という質問に対して以下のような答えをされていたのに少し安堵感を感じました。

「一度も後悔したことはありません。正しいことをした結果、精神的な面でさまざまな奇跡を経験しました。与えられた才能を使ってリスクをとれば、必ずいいことがある。」
「神様の手にふれられたという実感を得られたことは、おカネを得ることよりもずっと価値がありますよ。」

担当コンサルタント

  • 金融業界

    銀行

    証券

    不動産アセットマネジメント

    クレジット・信販・リース

    PEファンド・ヘッジファンド等

    フィンテック

    金融 その他

    専門分野:証券

    岡田 英行

    メインのキャリアは大手日系・外資系投資銀行における10年に及ぶ円金利商品の金融法人向けセールス。その他、リテールセールス、キャピタルマーケット、不動産証券化、ヘッジファンドなど金融における幅広い実務経験を有する。ご本人にとっての転職の是非を含め最善の道をご提示します。いただいた求人案件も、本当に良い案件なのか吟味してから良い点、そうでない点を整理してご紹介しております。

    メインのキャリアは大手日系・外資系投資銀行における10年に及ぶ円金利商品の金融法人向けセールス。その他、リテールセールス、キャピタルマーケット、不動産証券化、ヘッジファンドなど金融における幅広い実務経験を有する。ご本人にとっての転職の是非を含め最善の道をご提示します。いただいた求人案件も、本当に良い案件なのか吟味してから良い点、そうでない点を整理してご紹介しております。

転職支援サービスへの登録、利用はすべて無料

キャリア相談もお気軽にご相談ください。

無料転職支援を申し込む
業界に精通したプロが、あなたの転職をご支援します。お気軽にご相談ください。無料転職支援を申し込む 業界に精通したプロが、あなたの転職をご支援します。無料転職支援を申し込む