コラム

生物の模様の規則とナチスの暗号

お元気でいらっしゃいますか?
6月に入った途端に梅雨入りモードですね。梅雨入りしても毎日雨ということでもないですし、今年は傘を新調したので個人的に雨が楽しみといえば楽しみです。
地震や噴火など物騒な事象の多い今日この頃ですが、我々サラリーマンは目先のやるべきことを粛々とやるしかないですね。

ところで、表題を読んである人物の名前が頭に浮かんだ貴方はかなりのマニアですね。と言ってもたまたま現在彼の映画「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」が公開中なので、知っている方もいらっしゃるかもしれません。

アラン・チューリング.png表題の2つの単語に共通するのは、アラン・チューリングという1940年代から50年代に掛けて活躍したイギリスの天才数学者です。

 彼の名前を初めて知ったのはテレビ番組(NTV)でした。
東大の大学院で生物を研究していた枡アナウンサーが
「生物の模様のできあがる仕組みが数式で表すことができる」という衝撃的なことを言い出して、

 

数式.png

という式を提示してくれたのですが、未だに何を言っているのかさっぱり分からない。どうも生き物のほぼすべての模様がこの式で表されるそうなのです。
ただ、これはあくまでもチューリングの数学的な仮説だったのですが、1995年に大阪大学の近藤滋教授が実証実験を行って理論の正しさを証明しました。

ゼブラフィッシュ(初めはタテジマキンチャクダイを使ったのだそうです。)という縞模様の魚を題材に使い、幼魚には見えなかった模様が成魚になると模様がはっきり見えることから、幼魚の皮膚を顕微鏡で拡大したところ、黒と黄色の色素細胞がバラバラに混ざっているのですが、成魚になると同じ色素細胞が集まって模様を形成するということが判明しました。ゼブラフィッシュ.png
そしてその配置がたった2つのルールによって決められていると。

それを、テレビ番組で実験を行ったのです。
正六角形のマス(四角形でないのは隣同士の関係がより密接になるためだと思います。)が10000あるシートを用意して、10000個のオセロの駒に見たてた六角形を用意して最初は白黒同数(5000個づつ)になるようにランダムに配置します。

(1)中心のオセロに対して6個の内(正六角形なので)4個以上異なる色に囲まれたら
中心のオセロはひっくり返る。
(2)同じ色のオセロが周囲2周以集まると中心のオセロはひっくり返る。

以上の2つのルールで10000個のオセロをひっくり返し続けていったら、何とニシキ蛇のような模様が出てきたのです。この時ばかりは私も背筋が寒くなりました。
ルールをマイナーチェンジするとフグ、サバ、チータ、シマウマなど様々な生物の模様のパターンが現出するようです。
一体数学者がどのようにして、このような法則を思いついたのか非常に興味深いです。知人に英文の論文をいただいたのですが、まだ読み切れておりません。悪しからず。

ところで、このチューリングの功績で一番有名なのが第二次世界大戦中にナチスの暗号(エニグマ、タニーなどと呼ばれていた方式)を解読したことです。
エニグマは、前線や司令部などで連絡を取る際に文書を暗号化するマシンのことです。タイプライターほどの大きさで、中に数枚のアルファベット26文字の書かれた回転盤が数枚入っていてそれで文字を複雑に変換させていたものだとご理解ください。

エニグマ3.png
1939年ボンブと呼ばれる解読機をチューリングが作成して、エニグマの解読に成功し、1942年にはエニグマの解読情報を基に英国のバーナード・モンゴメリー司令官がドイツのロンメル将軍率いるドイツのアフリカ軍団を打ち破ったことで、ナチスのスエズ運河支配が終了してドイツが石油不足に陥りました。
因みに、日本帝国海軍の暗号であるJN-25をアメリカが解読するのをチューリングが手伝ったという説もあり、ミッドウェー海戦の敗北の遠因にもつながったと言われています。

一方でドイツはタニーというさらに複雑な新しい暗号で最高機密情報のやりとりをしていて、それを解読するのに更に高度な計算手法が必要となり、チューリングの解読手法を基に、トミー・フラワーズが巨大なデジタル式コンピュータ「コロッサス」を作成して、タニーの解読に成功。その結果ドイツの正確な作戦状況を把握してノルマンディー作戦の成功につながったのだそうです。結局このころから既に大量のサイバー攻撃が始まっていたことになりますよね。

最初のデジタル式コンピュータは、チューリングの作成したものではなかったのですが、彼は1945年からプログラム内蔵式コンピュータ「ACE」の作成に取り掛かり、1946年2月に論文を発表しましたが、ほぼ同時期にフォン・ノイマンが「EDVAC」という同様の方式の論文を発表したために、どちらが先か?という論争が存在するのだそうです。
また、早くも「機械は思考できるか?」ということで人工知能の問題なども提起して、チューリングテストという人間と機械の判別テストや、チェスのプログラミングなどもしていたようです。さらに、走るのが早く1948年のロンドンオリンピックの選考予選となる国内のマラソン大会で5位に入賞した実績があり、尚且つLGBTだったとは・・
まあ天才と呼ばれる方の創造力や才能というのはとてつもなくすごいですね。

担当コンサルタント

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    岡田 英行

    メインのキャリアは大手日系・外資系投資銀行における10年に及ぶ円金利商品の金融法人向けセールス。その他、リテールセールス、キャピタルマーケット、不動産証券化、ヘッジファンドなど金融における幅広い実務経験を有する。ご本人にとっての転職の是非を含め最善の道をご提示します。いただいた求人案件も、本当に良い案件なのか吟味してから良い点、そうでない点を整理してご紹介しております。

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