コラム
ダウントン・アビーとツタンカーメンと21世紀の資本論
こんにちは。お元気でいらっしゃいますでしょうか?
寒さは相変わらずなのですが、日の出の時刻が早くなってきたので、心持ち出社する気分が軽くなっているのは私だけでしょうか?
今回は、いきなり平松愛理さんの「部屋とYシャツと私」みたいな題名(古いですよね?)ですが、ちょっと力を入れて書いてみました。
と言っても内容はいつものようにたいしたことはないのですが。
NHKで日曜日の夜11時からやっている「ダウントン・アビー2」を見ていらっしゃるでしょうか?
“2”ということなので勿論続編です。
1912年のタイタニック号の沈没で跡取りを亡くした伯爵家一家に起こる愛憎劇や複雑なドラマ(どちらかというと遅い速度で段々とこの一家が没落していき、庶民と接する機会が増えて行く傾向にあります。)なのですが、当時のイギリスの厳しい階級制度や生活様式などをリアルに描いており、尚且つほとんどの登場人物が立場は異なれども、基本的には愛情を持って他人に接しているので、比較的安心して見られる番組です。伯爵一家と使用人という対局の立場にいる人々の心が通じ合った物語といったところでしょうか。
このドラマの最大の特徴は、本当の伯爵家のお屋敷(イギリス ハンプシャー州にあるハイクレア城)を使って撮影しているのですが、実際の持ち主はカーナーヴォン卿という方です。
カーナーヴォンって名前どこかで聞いたことはないでしょうか?
小さい頃古代の歴史に魅せられた方なら聞き覚えのあるのではないかと思いますが、そう!あの「ツタンカーメン」の墓の発掘でハワード・カーターに資金提供をした5代目のカーナーヴォン伯爵です。
この方、実はもともとかなりの浪費家でその影響もあり家も傾き始めていたのですが、アルミナ・ウォムウェルという富豪の娘と結婚して、そのインカムにより家計が相当回復したそうです。
この物語の伯爵夫妻のモデルの一部がどうも5代目のカーナーヴォン卿夫妻のようなのです。
このアルミナ・ウォムウェルという女性は、確認は取れないのですが、実は英国ロスチャイルド家のアルフレッド・ド・ロスチャイルドの娘という説があるようなのです。
というのもアルフレッドさんがアルミナさんにかなりの資金援助をしており、遺産の大半を相続させたようなのです。
つまり、ロスチャイルド家の支援が無かったら、あの美しいツタンカーメンの財宝は見つからなかった可能性が大だったということです。
世の中何がどこで繋がっているか分かりませんね。
また、このアルミナさんという方は人格者だったようで第一次世界大戦の際には、屋敷を病院施設として開放しご自身も負傷者のお世話をされていたとのこと。
それもドラマで描かれております。素晴らしい!
ところで、先月ピケティさんの『21世紀の資本論』を読破致しました。
ここで、内容の詳細につき触れることは致しませんが、その本の中に、トップ1%の富裕層の資産の民間全体の資産に対する比率の推移が19~21世紀の間で記載されております。
それが奇しくもダウントン・アビーの物語が始まった1910年代に一つのピークを打って、その後急降下していきます。
要するに富裕層が資産を失っていったのです。
というのも、イギリスでも19世紀というのは税率が低く、1910年辺りで最高所得税率が10%!最高相続税率が15%!程度だったようなのです。
そうであれば、資産は雪だるま式に膨らんでしまいますよね。
ところが、その後1950年辺りまで税率はうなぎのぼりで、最高所得税率は98%!最高相続税率は80%!に上昇しました。
何故か?
そう、第1次世界大戦から第2次世界大戦までイギリスに限らずどの国も、戦費で金がいくらあっても足りない状態でしたので税率が上がって行ったのです。
現在も先進国は税率が低く、尚且つ資本収益率(r)>経済成長率(g)の状況なので、ご存知のように二極化が進んでおり、過去最高の指標に近づいている国もあります。
長い間相場で痛い目に遭っている私個人としては「行き過ぎたものは必ず是正される」という習性を肌身で感じておりますので、どこかでこの二極化の拡大も終焉を迎えると思っております。
それが数年後か数十年後かは分かりません。
そのきっかけが何になるのか?天災?財政破たん?・・色々考えられますが、現在のきな臭い国内・国際情勢を見ていると戦争であっても全然不思議ではないと思います。
そうならないためにも、ここは世界史上初めて人智で乗り越えてもらいたいものです。
奇しくも、ドラマの主人公も現在のカーナーヴォン卿も同じことを言っておりました。
「私は、この土地や屋敷の所有者ではなく管理者なのです。」と。
本当に生き残ってきた富裕層だからこその発言だと思います。
このような謙虚な方が多いと世の中ももう少し暮らし安くなるかもしれませんね。
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岡田 英行
メインのキャリアは大手日系・外資系投資銀行における10年に及ぶ円金利商品の金融法人向けセールス。その他、リテールセールス、キャピタルマーケット、不動産証券化、ヘッジファンドなど金融における幅広い実務経験を有する。ご本人にとっての転職の是非を含め最善の道をご提示します。いただいた求人案件も、本当に良い案件なのか吟味してから良い点、そうでない点を整理してご紹介しております。
メインのキャリアは大手日系・外資系投資銀行における10年に及ぶ円金利商品の金融法人向けセールス。その他、リテールセールス、キャピタルマーケット、不動産証券化、ヘッジファンドなど金融における幅広い実務経験を有する。ご本人にとっての転職の是非を含め最善の道をご提示します。いただいた求人案件も、本当に良い案件なのか吟味してから良い点、そうでない点を整理してご紹介しております。